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久保川イーハトーブ世界とクラムボン広場


 住職 干坂げんぽう

 知勝院の樹木葬は墓地だけを皆さんに提供するのではありません。墓地のある久保川流域の自然を皆さんに楽しんで頂くと共に、その自然の保全に努め、「里山、里川は人の手がある程度入らないといけない。」ということを実感していただく場となるよう努めています。研修などの体験活動を重要視しているのも、「人も草木も共に生かされている。」と気づくことが宗教的に肝要と考えているからです。

 北上川流域は理想世界を「イーハトーブ」と名付けた宮沢賢治の故郷です。久保川流域は、賢治が理想とした様々な要素が詰まっています。

クランボン広場入口付近

 墓地のある所から徒歩で一時間(約四キロメートル)下流に位置する口グハウス悠兮庵は、久保川が大きく湾曲する所なので曲淵という地名の所になっています。ここの研修林(約二万四千u)で間伐していることはご存じの方が多いと思います。手を入れた結果、西斜面は二ッコウキスゲの群落が出現し、南斜面はヤマツツジの名所になろうとしています。

 久保川のさらに下流に、前回の雑感「里川の発信へ」で紹介したトレッキングコース出発点の空中四阿などがある地域があります。ここの地域は、沢ガ二がいますし、久保川のご神木・ケンポナシがあります。

 宮沢賢治の「ヤマナシ」という小品に沢ガニの兄弟が話題にした「クラムボン」という言葉があります。したがって、ヤマナシとケンポナシの違いがありますが、ナシつながりで、この言葉こそ、里川発信の根拠地にふさわしい名前と考え、この地域(約一万u)の名称を「クラムボン広場」としました。

 今後、多くの方に愛されるよう自然保全に努めますのでご支援のほどお願い申し上げます。





樹木葬通信 2006年5月15日発行 VOL31より




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