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縁を感じる日々


 住職 干坂げんぽう

 樹木葬墓地が認可されたのは平成十一年七月である。(使用開始は十一月一日)したがって、この会報が皆様の手に届く頃は、満八年をむかえ、九年目に入ることになる。

 この間、多くの方々からご支援をいただいた。最近では、既報の通り、木島喜世子氏ニュースショウの草分け・木島則夫氏夫人)による坐禅堂のご寄付など、感激する機会が多い。


田村家墓所での参拝
(右より伊達泰宗氏、田村護顕氏、徳川恒孝氏)
 毎回研修に参加し、足腰の重要さを知った会員がウォーキングを心がけ、以前より健康的に美しくなった姿に再会できるのも嬉しい。
 最近では、久保川イーハトーブ世界の素晴らしさ、特に、生態系の多様性が認められ、東京大学の鷲谷(わしたに)いづみ教授の保全生態学研究室が研究者を派遣し、植生調査に乗り出したことはビックニュースであった。今までは、旧来の常識を破った墓地としての物珍しさだけが取り上げられ、自然との関わりを重視してきた宗教活動はマスコミの話題とならなかっただけにかっただけに感慨も一入であった。

このような知勝院の活動に負けずと、祥雲寺の環境整備にも余念がない。

 祥雲寺の四季を飾るのは、カタクリ、イカリソウ、エゾタンポポ、ミヤマオダマキ、ミヤコワスレ、 ヤフカンゾウなどの自生草本類のほか、秋は自生のヤマモミジが全山を紅く染める。

 ただし、祥雲寺の周囲は交通量の多い道路であるから、セイタカアワダチソウ、セイヨウタンポポなどが侵入してくる。最近は、フランスギクの進出が激しい。これらの除去に職員を雇っているのは、一般の人には奇異に映るらしい。

 特に、一般人が「マーガレット」として、わざわざ草刈りの際も残しているフランスギクは、我が世の春を調歌している。セイタカアワダチソウとならぶ荒れた土地に蔓延(はびこ)る外来植物としてフランスギクを理解し、除去する人が増えることを期待し、祥雲寺では一所懸命に退治するしかない。

 外来植物の駆除に努めていると、境内、墓地の植生が昔のような柔らかみを帯びたものに変わっていくのが分かる。私がホッと感じる自然ならば、参拝者の幾人かも安らぎを感じ取ってくれるに違いない。

祥雲寺境内のエゾタンポポ

 「六月十六日には、徳川宗家十八代・徳川恒孝氏、仙治藩主伊達家十八代・伊達泰宗氏、一関藩主中興田村家十六代・田村護顕氏がそろって、田村家代々の墓を訪れた。これらの方々は、祥雲寺の環境にどのような感想を持たれたのであろうか。

 小藩(三万石)の菩提寺で、かつて(昭和十六年〜二十一年)住職不在であった荒れ寺の復興は、伽藍の華美ではなく自然の豊かさだとする私の思いは伝わったであろうか。






樹木葬通信 2007年7月10日発行 VOL38より




長倉山 知勝院
〒021-0102 岩手県一関市萩荘字栃倉73-197