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「ハンノキ」と地名のハノキダチ


なの花バス停「柧木立」


 3月下旬、水田や沢などの近くでいち早く春を告げるのが、ハンノキの仲間である。
 しかし、最近では、水田近くのハンノキは日照の妨げになる事と機械が田に入る邪魔になるということで刈り払われ、全く見られなくなった。したがって、春を感じるには沢に入ってミヤマハンノキを見るしかなくなった。
 ところで、久保川源流部の尾根を越えて小猪岡(こいのおか)川流域(本寺地区で磐井川に合流)に行くと、「柧木立」(ハノキダチ)という地名がある。漢字表記は異なっても、同音の地名は各地に多い。地名辞書で、ハンノキが生えているところを言うと説明しているのがあるが、それは誤りである。
 集落のはずれを意味する「ハ」(端)+助詞「ノ」+場所を意味する「キ」+地形が立ち上がっていることを意味する「タチ」(立、舘)の合成語が、ハノキダチなのである。
 この地名のところは、山際でしみ出した水があり、ハンノキが多いところから、語感が似ているハノキと結びつけて解釈する説がでたのであろう。ゆめゆめ、本に書いているからといって鵜呑みにしてはいけない好例である。



長倉山 知勝院
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